OECD各国で新型コロナ禍でも再生可能エネルギーの発電量は増加し続ける
先ごろ報告された最新のIEA(国際エネルギー機関)5月度レポートによると、OECD加盟国における再生可能エネルギーは確実に増加を続けている。特に欧州では初めてその総発電量に占める割合は50%を超えた。特に太陽光発電が好調で、これはその発電装置の増加に伴う発電可能量の増加と良好な天候により日射量が増えている事が主な要因のようだが、この困難な時期にその重要性を高めており、コロナ後の経済・雇用政策でも重要な役割を果たしそうだ。
一方、日本でも新型コロナによる緊急事態宣言以降の経済の停滞により電力需要が減少する中でも、再生可能エネルギー発電は対前年同月比で増加しており、30.4%と確実に総発電量に占めるその割合を増やしてきている。特に日本では風力発電量が対前年同月比で23.2%と大きく増えており、総発電量に占めるその割合はまだまだ低いが、洋上風力発電の普及など今後の進展が注目される。一方で、非再生可能エネルギー源である石炭火力発電も3.0%増加しており、これは電力需要の減少に伴う経済的な理由によるものと思われるが、温暖化に伴うと思われる気象異常、災害なども多発していることから、欧州などからの一層の非難も避けられないと思われる。
IEA 5月度レポートの概要は以下の通りである。
OECD加盟国における2020年5月の総発電量は772.9 TWh。これは前年の同月比で7.2%減、前月比で4.6%増であった。各国のロックダウン政策は5月以降緩和されたが、Covid-19の影響は依然明確である。
この中で再生可能エネルギーの発電量は277.0 TWhで、前年同月比で6.2%の増加、前月比も6.0%の増加であった。太陽光発電は47.9 TWhで前年同月比23.9%、前月比10.8%であったが、これはキャパシティの増加と高い日照率のためで、記録的に高い太陽光発電量に達していると言える。
従来的な火力発電量は、374.2 TWhで、対前年同月比14.1%の減少、前月比で4.3%の増加である。2020年が始まってこれまでの5ヶ月間の火力発電量の減少は、主に石炭採掘量の減少によるもので、前年の同期間比で23.3%の減産となっている。エネルギーミックスで見ると、2020年5月で石炭による発電率は16.5%で、これは2019年の同月の20.2%からも減少している。
ハイライト:
2020年5月におけるOECDヨーロッパ加盟国の総発電量は、249.4 TWhで前年同月比9.8%の減少で、前月比1.5%の増加であった。この中で再生可能エネルギーによる発電量は125.8 TWhで、これは総発電量の50.4%を占めており、初めて従来の非再生可能エネルギー発電量を上回った。主な要因は太陽光発電によるもので、その20.9 TWhの発電量は、前年同月比で26.5%の増加であった。一方、Covid-19による発電需要の落ち込みや良好な天候のため、非再生可能エネルギー発電量は、前年同月比で22.4%減少した。
一例としてイタリアでは、2020年5月の再生可能エネルギーの発電量は11.3 TWhで、これは総発電量の52.7%を占め、初めて再生可能エネルギーによる発電量が従来の非再生可能エネルギーの発電量を上回った。Covid-19と温暖な気候により、火力発電による電力需要は大幅に落ち込み、11.2 TWh(前年同月比14.4%減)に留まった。一方、太陽光発電量は対前年同月比 2.8 TWh (25.1%) の大幅増加となった。
一方、2020年5月の日本での総発電量は70.5 TWhで、対前年同月比3.5%のマイナス、前月比も1.8%の減少となった。これはCovid-19の緊急事態宣言解除が5月25日となり、ほぼ5月中は外出自粛や経済活動の停滞が続き、その影響を受けたと思われる。そんな中でも再生可能エネルギーの発電量は21.4 TWh、対前年同月比13.7%の増加となり、総発電量に占める割合は30.4%となっている。欧州と違い日本では、風力 (+23.2%)、水力(+11.5%)、太陽光発電(+9.7%)がそれぞれ確実に増加してることが特徴的である。
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